記憶の中の物語
赤ワイン色の表紙に金色の文字のタイトル。縁取りも金色で装飾された外国の物語の本。
それが私のお気に入りだった。
どっしりとした重みのあるその本を開くと、まわりの空気も変わるような気がしてた。
ところどころに出てくる挿し絵には、きらびやかなドレスのお姫様や白いタイツの王子様、黒いマントの魔法使いなんかが鮮やかな色彩で描かれていてすごくドキドキした。
本のページを開くと、どこだかわからないその国に自分もいるようなそんな感じになってた。
あの頃のような衝撃を求めて探すんだけど、
そこまで入り込めるような本にはなかなか出会えない。
記憶の中の思い出との勝負は、
はじめから負けが決まっているのかもしれないね。