猫と時計と観葉植物と
友達に連れて行ってもらったんだけどね。
一見、何のお店なんだかわからなかったの。
古道具屋さんなのかな?
お店の前には古いタンスが置いてあって
開いたひきだしの中には猫が三匹気持ちよさそうに眠ってたよ。
扉を開くとあちこちに観葉植物が並べられててね。
上の方からつり下げられてるのとかもあったりして
ちょっとしたジャングルのような空間が広がってたの。
薄暗い店内はそれほど広くはないんだけど
なんだか異空間に紛れ込んでしまったような感覚になったよ。
見渡すとあちこちにいろんな種類の時計があってね。
そのどれもが違う時間を指してるの。
きっと外の世界とは違う時の流れをしているんだと思う。
4人がけのテーブルの席に向かい合わせで座って
目の前にあるメニューからココアを注文してね。
珈琲専門店みだいでいろんな種類の珈琲が並んでるメニューの中から
ココアを注文するのはちょっと申し訳ない感じもしたんだけどね。
その不思議と心地よい空間で
何もせず静かにただ座っていると
自分もそこに
もとからあったもののように感じてきて
そこからの記憶は曖昧なんだけど
覚えているのは
あなたの後ろ姿を見たってこと。
珈琲の香りのするジャングルで確かに見たの。
もう一度会いたくて
あのお店へ行けばまた会えるのかな?
もしかしたらあのお店自体が幻だったのかもしれない…